最近読んだ本の忘備録です!だいたい1年おきくらいにこういうブログ書いてるけど、今年はなぜか例年の倍くらい読んでて、あんま長々とまとめると大変なので、ちゃっちゃと書いていく!
というわけで、以下から読んだ本の簡単なあらすじと感想!核心的なネタバレは書かないようにしてるけど、ボーダーラインが難しいからうっかりネタバレしたらごめんね(^_-)-☆
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- ミッドナイトスワン/内田英治
- 本と鍵の季節/米澤穂信
- 逆転美人/藤崎翔
- インシテミル/米澤穂信
- 向日葵の咲かない夏/道尾秀介
- 痣/伊岡瞬
- 代償/伊岡瞬
- ヒポクラテスの誓い/中山七里
- ヒポクラテスの憂鬱/中山七里
- ヒポクラテスの試練/中山七里
- ヒポクラテスの悔恨/中山七里
- 魔女は蘇る/中山七里
- 贖罪の其方/中山七里
- テミスの剣/中山七里
- ネメシスの使者/中山七里
- medium霊媒探偵城塚翡翠/相沢沙呼
- 名探偵の掟/東野圭吾
- 秋山善吉工務店/中山七里
- 鳥人計画/東野圭吾
- 闇に香る嘘/下村敦史
- 心とろかすような/宮部みゆき
- 青の炎/貴志祐介
- ボトルネック/米澤穂信
- 三匹のおっさん/有川浩
- カラスの親指/道尾秀介
- 秘密/東野圭吾
- 首なしの如き祟るもの/三津田信三
- 忌名の如き贄るもの/三津田信三
- テロリストのパラソル/藤原伊織
- 6人の嘘つきな大学生/浅倉秋成
- 氷菓/米澤穂信
- 獄門島/横溝正史
- 夜歩く/横溝正史
- おやすみラフマニノフ/中山七里
- 変身/東野圭吾
- 分身/東野圭吾
- 脳男/首藤瓜於
- 占星術殺人事件/島田荘司
- 斜め屋敷の犯罪/島田荘司
ミッドナイトスワン/内田英治
ニューハーフショークラブで働くトランスジェンダーの凪沙が、ネグレクトされた親戚の中学生を預かることになり、傷ついた二人に家族愛が芽生えていくお話。
映画が原作で、わたしも映画から入ったんだけど、嗚咽するくらいめっっちゃくちゃ泣いた。次の日も思い出し泣きするくらい引きずって、こんなに揺さぶられたのは人生初なので戸惑った。それくらい心にガツンと来る物語でした。小説版では、映画で省かれてた細かい背景が補完されて、これ読んだ後にもっかい映画観るとより沁みる。草彅さんの怪演と、服部さんの華麗な舞と、新宿の雑多感や人々の生き様など、そういうのを画面越しにぶつけられた作品でした(映画の感想やん)
本と鍵の季節/米澤穂信
図書委員の男子高校生コンビが、日常で起こるちょっとした謎を解いていく短編集。
主人公の二人が妙に達観した性格で、さっぱりとした掛け合いが癖になる。そんな二人が協力しながら颯爽と謎を解いていく、小気味良い青春群像劇☆…ってことはなく、ばっちりと穂信節が効いたほろ苦い読後感。続編もあるので、文庫化待ち。
逆転美人/藤崎翔
美人なせいで不幸な目に合い続けてきた、シングルマザーのカオリ。そんなカオリの「半生を綴った手記」って形で進められていく作品。
何言ってもネタバレになるのでなんも言えんけど、間違いなく力作です。今まで体感したことのないトリックに脱帽。この衝撃とワクワク感は実際読んで味わってほしい。
インシテミル/米澤穂信
破格のバイトに応募した12人は、高額報酬をめぐって「殺人ゲーム」に参加することに。
こういう心理戦クローズドサークルものが大好きなので、めちゃくちゃ楽しめました。12人の経歴が謎だらけなのもより緊張感を高めて、もうページめくる手が止まらん。映画版も観たけど内容が全然違ってて、if作品みたいな楽しみ方もできた。
向日葵の咲かない夏/道尾秀介
小学生のミチオは、同級生Sくんの首つり死体を目撃してしまう。Sくんは死後に蜘蛛の姿となってミチオの前に現れ、二人は共に殺人犯をさがすことに。
SFちっくな内容だし、タイトルの雰囲気から儚く切ない物語なのかな?って思いきや、読後すっごく嫌な後味が残る。物語終盤の疾走感とか緊迫感とか、そういう楽しい要素を全部帳消しにしてくる。嫌ミスだとは聞いてたけど、もはや「嫌」とかのレベルじゃないと思った。「龍神の雨」でも思ったけど、道尾秀介さんはヤバいやつを描くのがうますぎる。
痣/伊岡瞬
連続殺人の被害者は、共通して身体に痣が刻まれていた。その痣は亡き妻に刻まれていたものと同じで、その時の犯人はすでに死んでいるはずだった。刑事の真壁は事件の真相を追うことに。
伊岡さん作品は初読。すっごく面白そうな触れ込みだったのでわくわくだったけど、期待をはるかに超えてめちゃくちゃ面白かったです。たくさんの事件が1つの束に収束していく気持ちよさ!真壁&宮下コンビも楽しくて最高!シリーズものみたいなので、他の作品も読んでみたい。
代償/伊岡瞬
小学生のケイスケは、不幸な事故をきっかけに、遠縁のタツヤと暮らすことに。しかしそれはさらなる不幸の幕開けだった…。
またまた伊岡作品!痣の時もそうだったけど、伊岡先生は登場人物にすっごい残酷な仕打ちをする。途中苦しくてリタイアしそうになった。ここまで生理的嫌悪感を抱かせる表現の数々はすごい。
ヒポクラテスの誓い/中山七里
法医学界の権威、光崎教授が、一見すると事件性のない遺体を強引に解剖していく。その真意とは…?
社会派法医学短編ミステリー、「ヒポクラテスシリーズ」の1作目!七里先生の小説は登場人物がリンクしてるので、これまで別作品でたびたび出てきた光崎教授に、このシリーズで遂にスポットライトが当たる!光崎教授の唯我独尊っぷりと、必ず成果をあげる確かな腕前が最高にかっこいい。解剖が始まるシーンは毎回身震いしちゃうよ。まこと先生の今後の活躍もめちゃくちゃ楽しみなシリーズ1作目でした!そして!!このシリーズではあの古手川和也も登場します!!古手川和也とは、七里先生の初期作品「連続殺人鬼カエル男」の主人公である、傲岸不遜で猪突猛進な不良刑事!これまで様々な作品に登場している、七里作品の準レギュラーです!このシリーズでは古手川とまこと先生がちょっとイイ感じで、「ムカつくけどたまに頼もしいやつ…」みたいなむずむずする距離感でついニッコニコになってしまう。今後の2人の進展が楽しみ。
ヒポクラテスの憂鬱/中山七里
警察に犯行声明ともとれる匿名のメッセージが送られ、埼玉県警は右往左往することに。そのなかで浮かび上がる、司法解剖制度の脆弱さ。犯人の真の目的とは?
颯爽と現れて死体の声を聞き取る光崎教授と、頭のおかしい助手キャシー先生と、少し勇ましく成長したまこと先生の活躍が頼もしい。キャラがはっきりわかりやすいので、非常に読みやすいです。しかしなぜかこのシリーズ2作目だけ、まこと先生が古手川に対しての執着心をみせて戸惑いました。特に6章の「暴く」なんかは古手川の同僚に嫉妬心まで抱いてて、どどどどうしたまこと先生!?前作までそんなんじゃなかったよ!?ちなみに3作目からは普通の距離感に戻ってて安心した。監督が変わったんかって思った。
ヒポクラテスの試練/中山七里
死因不明の死体の解剖を行った法医学教室。しかし判明したのは、法医学界の権威、光崎をも動揺させる死因だった。そこに第二の犠牲者が…。
光崎教授の助手である、オモロー外国人のキャシー先生が大活躍!底なしに明るくてとち狂っているキャシー先生だから、さぞ楽しい展開になるのでは!?と思ったけど、悲しく苦しい展開に胸が詰まった。薄気味悪くて、胸糞悪い読後感の残る作品です
ヒポクラテスの悔恨/中山七里
光崎教授への脅迫文がネットに書き込まれた。まことは光崎の過去に手がかりを求めると、ある因縁が浮上する。犯人の真の目的とは?
シリーズ4作目にして、天上天下唯我独尊な光崎教授の過去がついに暴かれる!光崎教授の信念や正義感の源を知れて、ますます好きになった。最後のシーンはあまりにかっこよくて何度も読み返しました。いや~最高。こういうぶっ飛んでるけど芯の強いジジイに私もなりたい。
魔女は蘇る/中山七里
とある薬物研究員が、ばらばらの肉と骨だけになって発見される。薬物研究員の素性を調べていくと、謎の研究施設や人物が次々と明らかに。惨殺死体の真相を暴く、パニックホラーミステリー。
感想は一言でいうと、グロすぎ。あの…七里先生…、やりすぎ。残忍描写のオンパレードで、読後は最低最悪な気分です。そもそも七里先生は死体損壊描写がエグイ人なんだけど、今まで読んできたそれらを軽く凌駕してきた。ちょっと…早く内容忘れたいくらいに残酷。そして今作では!捜査一課に配属されたばかりの、25歳のペーペー古手川が登場!新人時代の未熟で情けない姿がしっかり描写されてて、これからの成長が楽しみになる作品。
贖罪の其方/中山七里
少年犯罪歴のある弁護士の御子柴は、死体遺棄事件の容疑者として疑われる。被害者は御子柴の過去を知る強請屋で、動機としては十分だったが、犯行時刻に御子柴には鉄壁のアリバイがあった。悪辣弁護士御子柴の本性は善か悪か?
弁護士御子柴シリーズの第1作。主人公の御子柴の得体が知れなさ過ぎて、どっちに転ぶのか終始緊張感があった。リーガルものならではの派手で華麗な展開もあって、読みごたえがすごい。そしておなじみの古手川と、その上司である渡瀬も登場します!古手川が御子柴に「不良学生に背広を着せたよう」とか評されてて、不名誉で笑った。
テミスの剣/中山七里
とある殺人事件の容疑者が獄中自殺を遂げ、その後に冤罪だったことが判明する。取り調べに参加していた渡瀬は、独自に真犯人を追うことに。
七里先生作品の準レギュラーで「仕事が出来すぎる」でおなじみの渡瀬刑事の若き日のお話。冤罪を扱った重たい内容で、胃にずっしり来る。今の渡瀬の仕事に対する姿勢は、この時の取り返しのつかない失敗から来てるんだなぁ。ハードボイルドにどんでん返しと、みっちり濃厚な内容に満足度が非常に高い一冊です!七里作品の「切り裂きジャックの告白」とリンクする場面もあって、七里ファンは歓喜したと思う。
ネメシスの使者/中山七里
死刑判決を免れた加害者たちの家族が、次々に殺された。犯人の目的は復讐か?それとも司法へのテロか?
死刑制度の闇に触れた社会派ミステリー!果たして死刑が極刑なのか、本当の贖罪とはなんなのか、読みながら色々と考えさせれた。ミステリーとしても読み応えが凄くて、七里先生のお家芸であるどんでん返しが次から次へとやってきて、めちゃくちゃ満足度が高い。そして今作でも、主人公の渡瀬刑事が大活躍!芯がブレないし、行動力も洞察力も判断力も抜群で、最高にかっこいい!
medium霊媒探偵城塚翡翠/相沢沙呼
死者を憑依させる「霊媒師」である城塚翡翠と、推理作家の香月がタッグを組み、あらゆる殺人事件を解決へと導いていく。その中で、翡翠は自身がいずれ凄惨な死を遂げることを予言する…。
何年か前に話題になってた作品で、話題通りにすごい面白かった。霊媒師っていう型破りな要素を入れたミステリーってことで、成立するのか疑問だったけど、設定を生かしたアイデアやストーリーが巧みで、世界観にすぐにのめり込んだ。要所要所にあった違和感が最後に一気に解決していくさまがめちゃくちゃ気持ちいい!
名探偵の掟/東野圭吾
登場人物全員が、自身が小説内の人間だと理解している世界で起こる、数々の事件。登場人物たちは、時には突っ込みながらもミステリーのセオリー通りな行動をとっていく、ミステリー愛読者が思わず笑ってしまうメタ短編集。
東野作品ではあまり見ない作風で、不思議な世界観だけど何故だかすごくハマった。序盤はただただおもしろく読んでたんだけど、後半は読者に対する鋭い指摘も入ってきて、思わずギクッとした。全体的にコミカルだけど、ちょっとゾクッとする展開もあって面白かった。
秋山善吉工務店/中山七里
火災で家を失った秋山家は、夫の実家である善吉工務店に身を寄せることに。大黒柱である善吉は昔気質の職人気質で、なかなか慣れずに同居は災難続き。しかしそんな善吉じいちゃんが、家族のピンチを次々と救う!
七里作品には珍しい、義理と人情に溢れる明るいホームドラマ!でもしっかりミステリー謎解き要素もあり!善吉の人柄が魅力的で、もっとたくさん活躍してほしかった!!ぜひとも前日譚を!!
鳥人計画/東野圭吾
日本ジャンプ界期待のルーキーが毒殺され、犯人は何者かの告発文によって逮捕される。しかし自身の殺人計画に抜かりはなく、なぜ犯行が漏れたのか、犯人は告発者を推理する。
殺人の裏に隠された様々な人物の思惑を探る、緻密な倒叙ミステリー。犯人が告発者を捜すという新鮮な切り口で、読んでてめちゃくちゃワクワクした。事件の真相や動機が分かった後で、タイトルの恐ろしさが身に染みる。スポーツ界の闇にゾッとした。
闇に香る嘘/下村敦史
孫娘への腎臓移植を望むも、適さないと診断された和久は、自身の兄を頼ることに。しかし兄は手術どころか検査すら拒み、和久は不信感を抱く。兄は元中国残留孤児で、永年帰国した際に和久は失明していたため、兄の姿を視認できなかったのだ。この男は本当に兄なのか?正体を探る中で、和久は驚愕の真相にたどり着く。
めっちゃくちゃ面白かったです。24年に読んだ中でナンバー1。なんなら歴代トップ3に食い込んでくるほど好きな作品でした。主人公が盲目なことを利用した緊迫するシーンはもちろん面白いし、他にも満州移民の生活や残留孤児などの胸にずしっと来る社会派な場面と、家族愛の温かな場面と、全部がとにかく面白かった。いい作品に出会えて良かった~~!
心とろかすような/宮部みゆき
蓮見探偵事務所の面々が遭遇する事件を、元警察犬のマサ視点で解決へと導く短編集。
前作パーフェクトブルーの続編。マサだからこそ解決できる事件の数々に、一緒に冒険しているようなワクワクが止まらない!マサの頑張りをカヨちゃんたちに伝えてあげたい!いっぱいなでなでしてあげてくれー!『マサ留守番する』ではたくさんの動物が登場して、不思議で魅力的な世界観に引き込まれた。結末はすごくショックでしばらく引きずるけど。あたたかいけどガツンとビターな宮部ワールドに浸れる一冊。タイトルのセンスにも痺れるよね〜!おしゃれだ〜!
青の炎/貴志祐介
高校生の秀一の穏やかな暮らしは、10年前に家を出た義父によって破壊される。秀一は家族を守るために、完全犯罪を企てるが…。
とにかく最初から最後まで苦しい物語。秀一の心理描写が秀逸で、感情移入しちゃって余計に苦しい。読みながら事態が好転する方法を考えたけど、何もかもが手遅れで、転落していくのを見てることしかできないのがツラい。
ボトルネック/米澤穂信
高校生のリョウは、恋人のノゾミが転落死した現場で、自身も同じように崖から転落してしまう。目が覚めると、そこはリョウが存在しないパラレルワールド。リョウはこの世界でノゾミが死んだ原因を探っていくことに。
SFミステリーで、自分も不思議な世界に迷い込んだような感覚。全体的に暗く、読了後もどこか心が晴れない。穂信先生作品だなって感じのほの暗さでした。物語の舞台がバリバリ地元なので、読んでて楽しかった。
三匹のおっさん/有川浩
還暦を過ぎた「元悪ガキ」のおっさん3人組が自警団を組み、痴漢、強盗、詐欺など、街にはびこる悪を成敗していく、痛快活劇小説!
おっさん3人組が、愛おしくて楽しくて暖かくて笑えて、最高に明るくなれる物語!3人とも武術や電子工作など何かしらに秀でていて、成敗シーンが頼もしくてかっこいい。こういう古き良き義理人情ものを読むと、ほっこりする反面どこか寂しくなるのはなんでだろう。
カラスの親指/道尾秀介
人生に敗北し、詐欺行為で生計を立てる中年2人組。そんな中、詐欺師の一人が過去に起こした事件がきっかけで、やくざに命を狙われることに。人生の再起を賭け、一世一代の勝負に出る。
おもしろかったです!!展開が次々と大きく変わり、まったく飽きさせない。色んな伏線が最後に一気にかっさらわれていくのが爽快。全体的にコミカルなので、読後も爽快。詐欺師のハードボイルド、ヒューマンドラマ、サスペンス、ミステリーと、色んな要素が楽しめる満足度の高い作品だった。
秘密/東野圭吾
バスの転落事故に巻き込まれ、妻が命を落としてしまう。奇跡的に助かった娘だったが、娘の体には妻の魂が宿っていた。夫婦の不思議な生活が始まる。
読後は胸がいっぱいになるお話だった。嬉しいやら切ないやら苦しいやら悲しいやら、どう言っていいかわからなくて心がめちゃくちゃ。自分だったら愛した人の幸せをこうやって願ったりできるのかなぁ…。心がかき乱された一冊でした。
首なしの如き祟るもの/三津田信三
古くからの因習や怪異の伝承が色濃い山村で、首なし連続殺人が起こる。これは人の仕業か、それとも祟りか?
初の刀城言耶シリーズ!祟りや因習を取り扱った作品で、ぞわぞわと背筋が凍る展開が目白押しです。緻密な伏線に、大胆なトリックに、最後までわからない二転三転するラストに、もうページをめくる手が止まらん。夜なべして一気読みしました。完成度がハンパなく高くて大満足な作品でした!
忌名の如き贄るもの/三津田信三
とある地方の村に伝わる「決して振り向いてはいけない」儀式の最中に、有力者一家の跡継ぎが右目を突き刺されて殺される。同時期に村に伝わる怪異「角目」が目撃され、住民は混乱の渦に。村を訪れた刀城言耶が事件解決に挑む。
再び刀城言耶シリーズ!またまた因習や怪異にまつわるお話で、こちらの作品も開始早々バッキバキのホラー展開をお見舞いしてくるので、怖すぎて何度も飛ばしそうになった。怖いんだけど、どこか物哀しくて切ない。古い時代の村の嫌な部分がギュッと詰まったようなお話。
テロリストのパラソル/藤原伊織
主人公の島村が遭遇した爆発事件。その被害者の中に、かつて共に学生運動を起こした仲間たちが含まれていた。過去の経歴や証拠品から島村が関与を疑われてしまう。自身の潔白を証明するために、島村は事件の真相を追うことに。
やさぐれてるけど、何でもそつなくこなす島村の活躍がかっこいい!学生運動に身をささげた人たちの、当時の熱意はそのままに歳だけ取って、宙ぶらりん状態の悲壮感が溢れていた。
6人の嘘つきな大学生/浅倉秋成
とある有名企業の最終面接にて、採用者を1人に絞るためのグループディスカッションが行われる。その最中、会場の隅に置かれた封筒から「6人の学生の不祥事を告発した文章」が発見される。犯人は一体誰なのか?
就活を題材にしたミステリー。採用方法や、就活のシステム自体への疑問が投げかけられている。確かに面接で数分話しただけでその人を判断するのは浅慮だし、そんなので人生が左右されるのなんて変だよなぁ。じゃあどういうやり方だと良いんだって言われたら難しいんだけど…。少し前の時代設定の話だから、その当時に何十社も落ち続けた人には、すごく刺さる問題提起だと思った。
氷菓/米澤穂信
高校の「古典部」に入部することになった折木と千反田。千反田は、かつて古典部の部員で現在失踪中の伯父について探るため、古典部の歴史を紐解いていくことに。
穂信先生の代表作ともいえる、「古典部シリーズ」一作目。若い男女グループが奮闘する、ザ・青春群像劇っぽいけど、しっかりビターで重厚なミステリーなところはさすがの穂信先生。続編も買ったので、読むのが楽しみ。
獄門島/横溝正史
「俺が帰らなければ、3人の妹が殺される」と遺した戦友の死を知らせるため、孤島の獄門島へ向かう金田一耕助。亡き戦友に代わり島に降り立つ金田一だが、予告通り、無残な連続殺人が起こる。
映像作品で散々ビビらされてきた金田一シリーズですが、今回恐る恐る原作を手に取ってみた。その時代の生活や風習の描写が、おどろおどろしくてクセになる!まだ事件が起こってないのに既に気味が悪い!そして金田一がいてもなお起こってしまう殺人に戦慄した。最後は何とも後味の悪い読後感。大人は身勝手だ…。
夜歩く/横溝正史
古神家の令嬢の元に、奇妙な文章と、首から上を切り取られた人物の写真が送られた。そして凄惨な連続首なし殺人事件がまきおこる。
またまた金田一シリーズ!だいぶ昔の作品なので、時代錯誤な表現があるのはもちろん承知だし、それを楽しみに読んでるところもあるんだけど、それにしてもこの作品は差別発言のオンパレードで笑っちゃった。この時代では多くの人が生きづらかっただろうし、そのことを自覚するのも難しかったんだろうなぁ。トリックはかなり大胆で、読んでて気持ちいいです。動機とか結末は全然気持ちよくないけど。
おやすみラフマニノフ/中山七里
音大の完全密室の保管庫から、時価2億円のストラディ・バリウスが盗まれ、それをきっかけに学内で次々と不審な事件が発生。定期演奏会の練習に励む学生たちは、疑心暗鬼に駆られていく。そこにピアニストの岬洋介が現れ、事件の謎に挑む。
岬洋介シリーズ2作目!前作の「さよならドビュッシー」に出てきたキャラも登場。前回は敵役だったあの人が、今度は頼もしい存在に!そういうシリーズものならではの楽しみ方もできました。今作でもスポ根青春群像劇みたいな感じで、定期演奏会に励む学生たちの奮闘に胸が熱くなる。音楽に生きる者の覚悟が主に語られてて、音楽家が魂を削って楽器に向き合う姿が最高にかっこいい。演奏シーンの華麗な音楽表現も圧巻で、実際にコンサートホールにいるかのような臨場感が味わえます!
変身/東野圭吾
銃撃事件の被害者となるが、脳移植を受け、奇跡の復活を遂げた成瀬。しかし生活していく中で、だんだんと自分が自分じゃなくなるような感覚に陥る。いったい誰の脳が移植されたのか?独自に調査する中で、成瀬は驚愕の真相にたどり着く。
成瀬の葛藤する描写が圧巻で、胸が苦しくなる。自分が自分でなくなる感覚ってどんな感じなんだろう…。本当の「死」ってなんだろうかと改めて考えさせられる作品でした。
分身/東野圭吾
札幌に住む鞠子は、自分と瓜二つの女性がテレビでバンド演奏していたと聞く。一方東京でバンド活動をしている双葉は、母親の猛反対を押し切ってテレビ出演していた。そのことをきっかけに、2人の周囲で変化が生じ始める。瓜二つの女性をつなげるものとは一体…?
医学の禁断の領域を描いたミステリー。鞠子パートと双葉パートが交互に語られていくので、絶妙なすれ違いにもどかしくなる。ラストシーンは圧巻で、何度でも読み返したい。親の深い愛情に涙腺が刺激された。
脳男/首藤瓜於
連続爆破事件が発生し、警察が踏み込んだ犯人のアジトで、「鈴木」という正体不明の男が確保され、共犯とみなされ精神鑑定を受けることになった。担当する医師の真梨子は、鈴木の真実の姿を暴こうとするが…。
謎の男を探る中で、衝撃の能力が明らかになるサスペンスミステリー。人間の感情や脳機能、善悪の価値観とかにも触れられてて、結構複雑な内容。後半は緊張シーンの連続で、冷や汗が出る。終盤の鈴木がとにかく魅力的で、今後どういう風になっていくのか気になる。
占星術殺人事件/島田荘司
密室で殺された画家、惨殺された6人の娘、暴行の末殺された長女…。梅沢家を襲った猟奇殺人事件は、世間を大いに騒がせる。40年の時を経て、そんな未解決事件の謎に御手洗潔が挑む。
私の好きな作家さんの多くが憧れだと名前を挙げる、島田荘司さんの超有名作品!この作品のミソとなる超特大トリックがあらゆる作品でオマージュされてて、既にネタバレ喰らっちゃってたから、本作を楽しめるかな…と少し不安だったけど、知っててもめちゃくちゃ面白かった!凄まじく大胆で度肝を抜かされる、とんでもねえトリック!あらゆる作家さんが影響を受けるのも納得。そして御手洗潔のキャラが濃ゆくて良い。まだシリーズ一作目なのに、序盤からフルスロットルのヤバいやつ。ドラマで玉木宏さんが御手洗を演じてたから、勝手にクールでスマートな印象を抱きがちだけど、全然トンチキ躁鬱変人だった。でも憎めなくて心根は優しい、そんな魅力的な主人公!
斜め屋敷の犯罪/島田荘司
斜めに傾いた館「流氷館」で行われたクリスマスパーティー。密室状態の部屋で、招待客が連続して殺される。この謎に御手洗潔が挑む。
御手洗シリーズの二作目!館の特徴をフル活用した、大胆で読んでて気持ちの良いトリック。館の展開図にワクワクが止まらん。ただ、御手洗が登場するのがかなり終盤なので、早く会いたい!!って焦らされること間違いなし。相変わらずのハイテンションぷりで、刑事に頭を心配されてて面白かったです。
以 上 !!!
良作にたくさん出会えたし、初の作家さんにもチャレンジできて良かった!そして謎の古手川ブームがやってきて、中山七里さんの古手川出演作品を片っ端から読んだ。古手川の活躍まとめブログもいつかやりたいな〜。