魂の文学的良心

感想とかレポとか日記 

ゾッとする本に出会えた春 〜2022〜

こないだテレビでAマッソ加納さんの自宅本棚が紹介されてて、作者とか出版社ごとにめちゃくちゃ綺麗に整理整頓されてて、「ゎ、わ〜〜!!」って思いました(感想)。本がピシッときれいに並んでるのワクワクするよね。憧れる〜。

そしてこれは私の凄惨な本棚。

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前におもろいミステリー小説の感想を書いたけど、前回書ききれなかった本とかまた新たに読んだ本を紹介していきます。前回がこちら。

ciiiars.hatenablog.com

前回の記事久々に読み返して思ったけど、『すごい』か『面白い』しか言ってなくね?何がどう面白いかがなんも伝わってこないんだが。まあ別にレビューでもなんでもない、ただの『感情羅列録』みたいなもんですので、今回もそんな語彙力皆無な感じです。「これも読みましたよ」っていう報告みたいなもん。そんでなんかオススメの本とかあったら教えてね!

 

というわけで、以下から小説の大雑把なあらすじと感想。

決定的なネタバレには触れないようにあらすじ紹介してくけど、中には何書いてもネタバレになるようなのあるから、配慮しきれなかったらすまん。

 

 

 

 

 

 

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異人たちの館 / 折原一

<あらすじ>「1年前に失踪した息子・淳の伝記を書いて欲しい」と頼まれ、膨大な資料を基に淳の生涯を辿っていくこととなる主人公。その中で明らかになる、淳の幼少期から続発する不可解な事件に、謎の人物『異人』の存在。なおも調査を続ける主人公に、不審な影が迫る。

 

どのまとめサイトでもほぼ必ず紹介されてて、ずっと読みたかった一冊。主人公と一緒になって淳を調査するような感覚でめちゃくちゃ楽しい。徐々に明らかになる淳の人物像とか、重要なキーワードにワクワクが止まらねえ。淳の過去を探れば探るほどに、主人公に怪しい人物がどんどん近づいてくるのとか読んでてゾワ〜ッて鳥肌立ちました。得体の知れないじわじわと怖い描写が圧巻で、600ページと鈍器並みの厚さだけど、次々来る緊張の展開に一気読みしちゃった。何度でも読み直したい本! 

 

神のロジック / 西澤保彦

<あらすじ>子供たちがとある全寮制の〈学校〉に閉じ込められ、推理ゲームやディベートワークショップなどの課題をこなしながら生活していた。自分たちは、なぜ・何のためにここに集められたのか。そしてそんな謎多き〈学校〉で、子供たちに突如悲劇が巻き起こる。

 

絶版してたのでなかなか手に入らなかったんだけど、タイミング良く再文庫化されて無事ゲット。表紙デザインやタイトルがちょっとラノベっぽくなり、手に取りやすくなったと思う。

謎の隔離施設で記憶喪失の少年少女が暮らすっていうオタク好みの設定に、軽く狂喜乱舞しました。主人公が他の寮生たちを内心『オベイ(けらい)』とか『ポエト(詩人)』てあだ名で呼んでるの、私の中の抗えない好奇心が疼く。私も生意気な同級生をユアハイネス(妃殿下)って呼んでみてぇ〜。

この施設の全容を探る謎解きと、後に起こる事件の謎解き、いろいろと謎が大渋滞してて休む暇なし。登場人物たちの〈学校〉の正体に対しての推理が全部筋が通ってて、それぞれの考察を頭に置いて読み進めてくのも面白い。物語に散りばめられてた謎が最後一気に回収されていくのが気持ちいいし、ダイナミックな展開アリでハラハラドキドキ。

 

迷路館の殺人 / 綾辻行人

<あらすじ>奇妙な構造の館、迷路館。ここに集められた4人の作家たちは、莫大な賞金をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始める。しかしそれは、おそるべき連続殺人の幕開けだった。

 

館の見取り図にわっくわくが止まらん。迷路館って名の如く通路が全部迷路みたいな構造なんだけど、これ使ってどういう殺人が起こるんだろ〜っていきなり超楽しませてくれます。物語は、「『迷路館の殺人』の実際の事件現場に居合わせた人物」の手記みたいな感じで、作中作として語られていくスタイル。作中作って時点で叙述トリックの可能性大なんだけど、そのことしっかり頭において読み進めてもなお騙されます。もう綾辻さんの作品では無理に真犯人暴こうとせん。変に抗わんと黙って騙される爽快感味わってる。殺人事件の謎解き+作中作の作者当てっていう2つの謎解きが楽しめます!作者の綾辻さんのマイベストが暗黒館の殺人みたいなんだけど、それも読まなくては。読み応えすごそう。

 

回廊亭殺人事件 / 東野圭吾

<あらすじ> 莫大な財産を有する市ケ原氏が亡くなり、彼の遺言書が旅館『回廊亭』にて、一族の前で公開されることになった。一族の他には菊代という老婆が招待されていたが、菊代の真の目的は、半年前に回廊亭で起きた心中事件の真相を探ることだった。その夜、一族の寝泊まりする回廊亭で、第1の殺人が起こる。

 

東野圭吾さんのこの手の関係者集合系(?)大好きなので、読む前からわっくわくでした。過去の心中事件の被害者である菊代が身分を偽って回廊亭に侵入してるんだけど、菊代のスパイ的な立場から語られる物語がすげー面白いし、菊代の悲しい身の上話や心情の描写にグイグイ読まされました。この場に集まった誰かが既に心中事件の加害者で、さらにまた別の殺人が起きるっていう緊張感がすごくて、二重も三重も楽しめる作品。そんで救いが一切ない結末。ツラ…。

 

リラ荘殺人事件 / 鮎川哲也

<あらすじ>学生寮『リラ荘』を訪れた、日本芸術大学の学生たち。その日の晩に学生二名が婚約発表を行い。その他はざわつきを抑えられないでいた。そんな中巻き起こる第1の殺人と、第2、第3の殺人を予言するかのような、死体のそばに置かれたトランプ。犯人の正体と動機とは?

 

誰がやってもおかしくないんだけど、誰もが完全犯罪が不可能っていう状況。さらに警察の目が近くにありながらも、あざ笑うかのように次々起こる殺人に緊張が止まらない! 真犯人、殺人を厭わなさすぎだろ。そんで途中からやってくるあいつ、フラグびんびんに立てといて案の定しっかり殺されて笑っちゃった。所詮学生寮とかそんな生易しい話じゃなかった。

60年前に出た本みたいなので言葉の言い回しなどに若干の古めかしさはあるけど、それでもトリックの面白さで一気読みしました。この時代の男女間の価値観などが学べて、そういう視点でも興味深い。醜女(しこめ)って描写出てきたときはビビった(笑)。

 

七回死んだ男  / 西澤保彦

<あらすじ>同じ一日を9日間繰り返す、『反復落とし穴』という特異体質を持つ少年・久太郎(ひさたろう)。一家の長・零治郎が、親族の集まりの場で謎の死を遂げた晩、『反復落とし穴』の能力が発動。久太郎は時間をさかのぼり、零治郎の死を阻止することに成功するが、すると今度は別の容疑者が浮上し、また同じ死が繰り返されることに。なぜ零治郎は必ず殺されるのか。限られた残りの日数で、零治郎の死の真相に迫る事が出来るのか?

 

オタクが大好きなループものです!高校生の久太郎が特異体質を活かして零治郎の死を防ぐって話なんだけど、前回の加害者を除外したらまた次違う加害者が出てきて、えっ、お前もーー!?って久太郎と同じ心境になりました。零治郎を許せ! 他にもキャラたちのドロドロとした人間関係も面白い。中盤は目を覆いたくなるような痴情のもつれなんかがあって苦しいんですが、最後はわりとポップに明るく終わったので読了後はスッキリ。

久太郎、ループのしすぎで体は子供なのに心は成熟してるの、悲しい江戸川コナンじゃん。

 

殺戮にいたる病 / 我孫子武丸

<あらすじ>東京の繁華街で次々起こる猟奇殺人。犯人の蒲生稔は、永遠の愛を掴むため、凌辱と殺人を繰り返していた。蒲生稔・元刑事の樋口・息子の行動に違和感を抱く母親の雅子の3人の視点から、事件の真相に迫る。

 

 物語がはちゃめちゃに面白くて、読後に「はぁ〜!」って感嘆の声漏らしちゃった。トリックや構成がとにかく凝ってて巧みです!ほんの些細な描写に真相が詰まってるので、見逃し厳禁。個人的に綾辻さんの十角館ばりの衝撃度でしばらく思考停止しました。一回頭かち殴って記憶なくしてからもう一度読みたい。

ただ作中の陵辱シーンがマジで耐えられんくらいグロいので、かなり人を選ぶ作品やと思う。

 

○○○○○○○○殺人事件 / 早坂吝

<あらすじ>とある無人島に、夏休み恒例のオフ会に訪れていた男女数名。しかし到着の翌日にメンバーが失踪、続いて殺人事件が発生する。

 

 無人島という閉鎖空間で起こる、王道クローズドサークル系。ライトな語り口で内容も重くないし、読みやすいです。船着場での殺人+無人島殺人+伏せられたタイトル当てと、物語に謎解きがたくさん散りばめられてて満足度高い。ただしバカミス!真相にズコーッしました。コント読まされてる感覚。あと主人公の南国モードが馬鹿馬鹿しくて笑っちゃった。いるいる、こういう急にハメ外すやついるいる、って微笑ましく見守ってました。人によると思うけど、私はこういうややメタっぽい作品大好き。

 

噂 / 萩原浩

<あらすじ>新商品の香水を売り出すため、とある企業が女子高生のクチコミを利用し、「殺人鬼レインマン」の都市伝説を作り出す。販売戦略通り香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、都市伝説通りのシチュエーションの少女の遺体が発見されることに。

 

ホラーテイストだけどしっかりミステリーで、全体的に仄暗く陰鬱とした雰囲気で好き。噂や都市伝説が作られて広められていく流れがリアルで、確証のない話を信じ込んでしまう恐ろしさは最後の最後まで発揮されてて、マジで怖かった。謎解きに挑む2人の警察官のムズムズした関係性が良きですね!

(ちょいとネタバレになりますが…)途中なんの違和感もなく読んでたある人物の何気ない仕草や言動なんかが、真相を知った後だと天地がひっくり返るほど気持ち悪く感じて、そこらへんめちゃくちゃ面白い。

 

儚い羊たちの祝宴 / 米澤穂信

<あらすじ>夢想家のお嬢様たちの集う、優雅な読書サークル『バベルの会』。会員の吹子の屋敷では、バベルの会恒例の夏合宿2日前、吹子の近親者が何者かに殺された。翌年も翌々年も同日に誰かが殺され、4年目にはさらに凄惨な事件が引き起こされる。『バベルの会』をめぐる、5つの短編集。

 

 読書サークル『バベルの会』が繋ぐ短編ミステリー。どのお話にも、名家のお嬢様や使用人が登場します。華やかでお上品な世界観だろうな〜って読み始めたんですけど、全体的に薄暗くてダークな感じ。どの物語も静かに粛々と進められていくんだけど、その中にある女性特有のヌルッとしたしたたかさとか不穏さにゾクゾクさせられる。私は特に『玉野五十鈴の誉れ』が好き。キャラも世界観も美しいし、結末に戦慄する。あんまこういう言い方アレなんですけど、全体的に「女コエ〜〜〜〜ッ!!」ってなる短編集。

 

倒錯のロンド / 折原一

<あらすじ>とある作家志望の男性が、精魂込めて執筆した推理小説、『幻の女』。しかし、新人賞受賞間違いなしと自負した『幻の女』の原稿が何者かに盗まれ、さらに別の人間の作品として賞を受賞してしまう。男は盗作者に接近を試みるが…。

 

最初は主人公と一緒になって盗作犯を探っていく、サスペンスのような展開でワクワクするんですが、中盤から急にミステリーでもう大混乱極まれり。すんげーこねくり回された構成で、終盤は驚きの連続で頭パンクしそうになります。真相が暴かれた箇所で5分くらい思考停止した。人の妄信は凶器…。

 

星振り山荘の殺人 / 倉知淳

<あらすじ>とある山荘に集められた、UFO研究家や女流作家などの癖の強い人物たち。しかしその晩のうちに山荘は雪に覆われ、電波も交通も遮断されてしまう。陸の孤島と化した山荘で、次々と殺人が起こることに。

 

章の合間合間に、「次はこういうことが起きます」「次はこれが起きますが、この可能性はありません」ってフェアに解説入れてくれるから、真剣に謎解きに挑むことができます。そんでも力一杯騙されてるんやけどね、結果。毎度毎度100%騙されてるやん。全体的に金田一少年みのある設定やトリックで、特有の薄気味悪さ感じられて好きでした。

 

眠りの牢獄 / 浦賀和宏

<あらすじ>転落事故が原因で、5年経った今も昏睡状態の亜矢子。当時事故現場に居合わせた亜矢子の友人3人は、亜矢子の兄に呼び出され、犯人の自供があるまで地下シェルターに監禁されてしまうことに。一方その頃外部では、とある代理殺人が行われようとしていた。

 

250ページと読みやすい厚さの中に、様々な衝撃がものすごい濃度で凝縮された本。次から次へと襲いかかってくる新事実に目ぇが回る。謎がガンガン解き明かされてく疾走感凄まじいです。そしてこの作品最大の衝撃度を誇るあのシーン。途中ほんのちょっと違和感覚える描写があるんだけどスルッと流して読んだら、後にまあまあなヒントだったこと思い知らされてびっくりしちゃった。登場人物たちがみんな愚かで、救いの一切ないような、ある意味で救われるような、心がかき乱される結末。

 

ラットマン / 道尾秀介

<あらすじ>アマチュアロックバンドのギタリスト・姫川は、スタジオの倉庫で、恋人ひかりがアンプの下敷きになって亡くなっているのを発見する。これは事故か他殺か?

 

主人公の姫川視点で、事件の真相を追っていくような感じのあらすじなんだけど、姫川の行動がいちいち不可解で、もう誰を信用していいのか分からん。そんで次々浮かび上がる複雑な人間関係や、同時進行で語られる姫川の幼少期に起こった事件。二転三転する怒涛の結末に、衝撃と同時に悲しい気持ちが湧いてくる。ミステリーというよりヒューマンドラマの要素が大きいのかな。事件の背景や人物の心理描写に引き込まれました。

 

かにみそ / 倉狩聡

<あらすじ>とある男性が、海岸で小さな蟹を拾う。その蟹は人の言葉を話し、なんでも食べてしまう奇妙な生き物だった。ある日、男性は衝動的に恋人を殺害してしまう。その時ふと思いついたのは、なんでも食べる蟹の存在だった。

 

SFサスペンスホラー作品。ホラー小説ってあまり読んだことないのですが、これはあんまりおどろおどろしい雰囲気もなく、儚く悲しい青春物語みたいだった。人を食べるおぞましい存在なはずの蟹なんだけど、優しくて小生意気で不思議な魅力があって、どんどん蟹のこと好きになっていっちゃう。最初無気力だった主人公が、蟹と友情をはぐくんでいく過程で少しずつ成長していくのにじわっとしちゃった。純愛じゃん…。主人公にとっての蟹って、弟みたいな友人みたいな恋人みたいな、バディに近い存在なのかな。なんだかノスタルジックなような不思議な読後感でした。

二作目の「百合の火葬」の方が薄気味悪くて怖かった。和製ホラーにも手出したくなりました。

 

 

13階段 / 高野和明

<あらすじ>冤罪かもしれない死刑囚の無実を証明するため、刑務官の南郷と、仮釈放中の青年三上が事件の調査を始める。事件当時の記憶を無くしていた死刑囚が唯一思い出した手掛かりは、『階段』の記憶のみだった。

 

あちこちで面白い作品だと聞いていたので期待大だったんだけど、マジで期待を大いに上回る面白さでした。ミステリー要素自体はそこまで入り組んでなくてオーソドックスな内容だけど、後半の怒涛のサスペンスにページめくる手が止まらん。死刑制度、法の矛盾、服役者の出所後やその家族、被害者遺族などを扱った作品で、気分がずっしり重たくなった。カエル男や殺戮に至る病みたいなめちゃグロ作品もメンタルに来るけど、この作品の加害者家族の現状のシーンはグロの比じゃないくらい重たくて、一回読むの休憩しちゃった。思い出すだけでしんどい。この本読んだ後のやりきれない胸のもやもやに未だ支配されとる。

題材もミステリー要素もめちゃくちゃ面白いし、隠された真実や衝撃の展開などのどんでん返しにもアッとさせられるし、間違いなくおススメできる作品です。

 

すべてがfになる / 森博嗣

<あらすじ>孤島のハイテク研究所で、完全に隔離された生活を送る、天才工学博士・真賀田四季。研究所を訪れていたN大工学部助教授の犀川たちは、真賀田博士の部屋から、ウエディングドレスをまとい四肢を切断された死体が飛び出してくるのを目撃する。天才たちの集う研究所で行われた密室殺人の謎解きに挑む。

 

天才同士の闘いに胸躍る、理系ミステリー!登場人物の研究員たちがみんな振り切った天才なので、会話や感覚がぶっ飛んでていちいち私の厨二心を揺さぶりました。お恥ずかしながら工学関係の専門用語がサッパリなので、細かいトリックはちょっとあんま分からんままでしたが、大きな謎は大胆不敵で分かりやすく、死体発見の状況も強烈なインパクトでゾワゾワして非常に楽しめた。研究所の描写を元に自分の脳内で研究施設描くのも楽しい。登場人物も非常に魅力的。天才博士の真賀田四季の持つ雰囲気や、常人には理解できない知性と感性なんかがどこかハンニバル・レクターを想わせて、ついうっかり傾倒しちゃう。犀川先生はタバコ吸い過ぎ。

アニメ化やドラマ化もしてるので、そちらも機会あったら見てみたいな。

 

殺人鬼フジコの衝動 / 真梨幸子

<あらすじ>一家惨殺事件のたった一人の生き残りとして、新たな人生を歩み始めた少女フジコ。しかし彼女の人生はいつしか狂い始める。なにが彼女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?

 

『誰か』が殺人鬼フジコの生涯を記録した『作中作』として語られていくスタイル。全体的に負のスパイラルが続く、倫理観が死んだ気分の沈む内容。でもぐいぐい読ませる中毒性もあって、気分重いんだけどついつい先が気になってページめくっちゃう。特に中盤にある、女子グループ独特の濁った空気感の描写が臨場感エグくて、作者の真理さんの他作品も俄然興味が湧いてきました。作中作を書いた人物の謎や、ラストの衝撃の展開にはワクワクさせられました。

(ちょっとネタバレ感想)こんな事になる前にもっといい選択肢はなかったのかと色々考えるんだけど、叔母夫婦の家にいた頃はまあまあ良い生活だったし、自ら人生を好転させる良い機会だったように思うんだよなぁ。フジコは生い立ちから環境からものすごく気の毒な人生だけど、自分から転がり落ちていったような哀れさも感じられて、とにかく後味が悪く、読むのに体力のいる作品。

 

満願 / 米澤穂信

<あらすじ>新人警察官の殉職の真実に迫る『夜警』。自殺志願者が最期に泊まると噂される宿に、恋人を探しにやってくる青年の物語『死人宿』。1年に一回転落事故の起こる「死を呼ぶ峠」の調査のため、近くのドライブインに取材にやってくるオカルト雑誌ライターの物語『関守』など、6編からなる短編集。

 

儚い羊たちの祝宴」に続き、米澤穂信さんの短編集!どの物語も、世界観も雰囲気もガラッと違っていて、でもどれも陰鬱とした人が人でないかのような背筋の凍る展開。ミステリーなんだけどホラーのようなゾクゾクが味わえる作品。世にも奇妙な物語にテイストが近いかな。6つとも外れなしでめちゃくちゃ面白いです。

私は特に「関守」、「万灯」、「夜警」、「死人宿」が好き。(全部やないかい)

 

 

以  上  !!!!

本の感想書いてるだけで、読後の余韻を思い出して気持ちいいね。

今は知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』の文庫化を心待ちにしてるところです。ハードカバーのやつでチラッと屋敷の見取り図見た時、テンションめちゃくちゃ上がりました。(ハードで買え)